全部出すんだ(寝ゲロ小説)
寒い12月の夜。
終電を逃した3人は、タクシーを止めて家に向かおうとしていた。
一番若かった僕は助手席に座り、先輩が行き先を言ってタクシーが走り始める。
あぁ、あんなに飲むんじゃなかった。
タクシーの振動と共に僕の胃までもが揺れて、一気に吐きそうになる。
そういえば前にも同じ後悔をした気がする。
吐きそうになるのを我慢しているうちに、僕はいつのまにか眠っていた。
「2440円です。」
先輩の家に着いた。
寝ていたことでなんとかタクシーで吐くことは回避出来た。
「お邪魔します。」
先輩が寝るベッドとテレビ台の間に布団を敷いて、僕ともう1人の先輩は2人で寝ることになった。
そそくさとベッドに入った先輩が
「おやすみ。」
と言った。
おやすみと言ってから、あんなに早く寝る人は初めて見た。
それから少し時間が経ち、僕も眠りについた。
ぐっすり寝ていた。
ぐっすり
寝ていたはずだった。
ん?
横で寝ていた先輩が慌てて起き上がる。
僕はその時、
必死に口を押さえているところだった。
ー全部出すんだー
最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)